社会資本の老朽化対策と維持管理(上)

岐阜新聞コラム「素描」

05.社会資本の老朽化対策と維持管理(上)

 2012年12月に発生し、9人が亡くなった中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板落下事故は、国内の高速道路上の事故で最も死者数の多い大惨事でした。
 施工後約35年が経過し、天井板を吊り下げるためのボルトを固定する接着剤の劣化が主要因とされていますが、適切な点検と対策がなされていれば防げた事故であり、社会資本の維持管理の重要性を示しています。
 わが国の社会資本のうち、標準的耐用年数とされる建設後50年を経過する基盤施設の割合は、約10年後には道路橋や河川管理施設で半分近くに達する見込みです。社会資本の老朽化がこれまで以上に問題になります。こういった背景から、2013年に「インフラ長寿命化基本計画」が策定され、国・地方自治体が社会資本の維持管理・更新を着実に推進することになりました。
 道路は14年に点検が法律で義務化されました。全国にある約70万橋の橋梁や約1万のトンネルなどは5年に1回、近接目視で点検し、健全度を診断・記録します。岐阜県内には約2万6千の道路橋と365のトンネルがあり、その数は全国トップレベルです。
 ここでちょっと計算してみます。今後、公共事業費の伸びが前年比プラスマイナス0%で推移すると仮定し、維持管理や更新をこれまで通りに対応するとどうなるか。維持管理・更新費が公共事業費全体に占める割合は10年度の時点で50%ですが、20年後の37年度には公共事業費全体を上回り、新規の公共投資はできないことになります。わが国は本格的な維持管理・更新の時代を迎えているのです。